2018年5月22日

✐ ウサギをフィンランド語で何という?


フィンランド語でウサギを「カニ」という…という話を聞いたことがある人も多いのでは?

Google先生の翻訳でも、ウサギ=kani(カニ)となっているようです。

まあ、確かにその通りではあるのでしょうが、ウサギの名称は他にもいろいろあるし、「カニ」がウサギ全体を指す言葉、というわけでもありません。

そこで今回は、「ウサギ」を意味するフィンランド語を集めてみました。

jänis

おそらく、日本語の「ウサギ」に一番近いのがこの jänis という言葉じゃないかと思います。生物の分類で「ウサギ科ウサギ属」などというときに使われるのがこの jänis なので。

狭義では、フィンランド在来の野ウサギ metsäjänis ユキウサギ を指します。

身近な動物だからでしょうか、慣用的な使い方もいくつかあるようなのであげておきます。
 Matkustaa laivassa jäniksenä.
ウサギとして船で旅行する…というと???ですが、ここでの jänis は 密航者 の意味。それなら納得ですよね。
Arka kuin jänis.
ウサギのように過敏…これはそのまま理解できそうです。どうやら jänis は臆病者の代表格とされているらしい。
jäniksen selässä
ウサギの背にいる状態、つまりウサギに乗っている状態…転じて、あわただしく忙しい状態をあらわすようです。

ところで、この jänis から派生したらしき動詞 jänistää という単語もあります。意味は,
怖がる あるいは 逃げる。…やっぱり jänis、しっかり臆病者にされてる (-_-;)

rusakko

フィンランドに住む野ウサギ種、ヤブノウサギのこと。20世紀の初めにカレリア地峡経由でフィンランドに入ってきた野生のウサギです。今は、南部から中部にかけて住んでます。

kani / kaniini

日本人には「カニ」がよく知られていると思いますが「カニ―二(kaniini)」ともいいます。アナウサギ のことです。ペットとして飼われているウサギです。

このウサギ、あくまでペットであってフィンランドの自然界にはもともと住んでいませんでした。でも、逃げた、あるいは放された飼いウサギが生き延びて繁殖・野生化。今はヘルシンキ市やトゥルク市界隈に、野生化した「カニ」さんたちが住んでいるとか。で、そのカニさんたちは、Citykani っていわれてます。都会暮らしのカニさんです。

ところで、 ウサギとは全く関係ない意味をもつ kani もあります。質屋 のことです。

kani から派生したらしい kanittaa という動詞もありますが、意味は 質屋に入れる。…ウサギとは全く関係ありません。

pupu / pupujussi

主に子供たちに対して使うのかな? 絵本とかで出てきそうです。個人的にはなんとなく「かわいい」うさぎというイメージがあります。「ププ」って音自体がかわいいじゃないですか。

そんなイメージのせいかどうかは知らないけれど、バニーガール puputyttö … jänistyttö じゃない。

puputtaa という動詞もあります。ウサギって、口をもぐもくよく動かしてるじゃないですか。puputtaa はどうやらその動作をさすようです。ウサギに限らず、人にも使います。

jänö / jänönen / jänöjussi / jänöpupu

これらも、主に子供たちに対して使われるようです。私にはほとんどなじみのなかった言葉。子供の本をあまり読んでいないからかな。

ristihuuli / ristiturpa

口唇口蓋裂のことを ristihuuliristi 十字架 + huuli )ともいいます。でも、ristihuuli で、ウサギ を意味することもあります。ウサギの口の形から来ている名称でしょう。

ristiturpa もウサギの鼻づら~口の形からきたのであろう ウサギ を意味する言葉です。(risti + turpa 鼻づら

vemmelsääri

ウサギをこんな言葉で表すことも。vemmel は馬具の一つで、アーク型をしているらしい(具体的にどんなものか、いまいちよく分かってない…(^_^;))。sääri のこと。

これもおそらく、ウサギの外見から来ている呼称でしょう。

2018年5月8日

📖【ジュニア文学】Kesän miekka:ファンタジー…Magnus Chase シリーズの一作目

図書館の電子ブック貸し出しページで『Kuolleiden laiva(原作:The Ship of the Dead)』という本を目にしました。でもそれ、 よくよく見たら、Magnus Chase というシリーズものの第三作目であることが判明。

シリーズものならやっぱり第一作目から読んだほうがいいよね、ってことで、まずはこの『Kesän miekka』を読んでみることにしたのでした。

Kesän miekka

Kesän miekka(Magnus Chase 1)
著者:Rick Riordan
訳者:Ilkka Rekiaro
表紙:Rhett Podersoo
出版:Otava, 2016年

Magnus は母親と2人で暮らしていました。父親には会ったことがありません。

母親が死んだあと2年間、ボストンで路上暮らしをしていた Magnus。16歳の誕生日に、Magnusの父親は北欧神Freyrであると、叔父から知らされます。そしてその日Surtに襲われ、命を失うことになります。

…が、Valhalla という世界で einher(神オーディンの戦士)として復活。紆余曲折を経て、世界の最後の戦いが勃発することを防ぐため、仲間たちと多くの困難に立ち向かいます。

*****

北欧神話をモチーフにしたファンタジー。とはいっても、時代は現代。オーディンでさえもパワーポイントを使ってる!!!

Magnus の語りで物語は進行していきます。ユーモアもあるから、ティーンの子たちには面白いんだろうな…

対象年齢外の私にとっては、いまいち波長が合わなかったというのが正直なところです。まだ2作続きがありますが、おそらく読むことはないでしょう。

"Kesän miekka"の意味

kesänkesä の単数属格、miekka。つまり『Kesän miekka』で『夏の剣』。

原作は英語です。その書名が『The Sword of Summer』なので、ストレートに翻訳したかたちですね。

シリーズ名の『Magnus Chase』は、主人公の名前です。

著者について

Rick Riordan(リック・ライアダン 1964年~)はアメリカの作家。

Wikipediaの日本語版にも記述があったので、そこから一部をそのまま抜粋しておきます。
アメリカ合衆国の推理作家、児童文学作家、ファンタジー作家。

テキサス大学オースティン校を卒業後、教師になる。15年間、サンフランシスコやサンアントニオの中等学校で英語や歴史を教える。その後小説家に転向し、現在に至る
日本語にも翻訳されている作品もあるようですね。でも、今回読んだ本の日本語版はなさそうです。

《参考ウェブページ》
Rick Riordan | Otava
Kesän miekka | Otava
リック・ライアダン - Wikipedia

2018年5月1日

📖【小説】Saarretut:雪に閉ざされた小さな街で

今回の本も、図書館から借りた電子ブックです。

Saarretut

Saarretut
著者:Karin Erlandsson
訳者:Laura Varjola
表紙:Sanna Mander
出版:Kustantamo S&S, 2018年

殺された母 Monika、そして残された家族。

家族の大黒柱であるべき父親 Krister は、ふさいで寝てばかり。息子 Jonas は学校にも行かない。娘の Kajsa だけが、普通の日常を送ろうと努めています。

その年の冬のある日に、嵐、そして大雪。除雪が間に合わず、街は孤立。そんな中、Jonas が銃を手に街の新聞社に立てこもるのです。

*****

いつもそれなりに読まれている本を借りているので「はずれ」はめったにないのですが、今回の本は私にとってはいまいち。

他の人たちはどのように読み取っているのだろうと、いくつかの読書ブログを読んでみました。すると、それらの中では概してとても好評じゃないですか!!

ストーリーだけを追ってしまう私の読み方がいけないのかもしれません。文章自体を楽しむとか、情景や登場人物の心情に思い入れをするとか…正直言ってそういうのはとっても苦手。ストーリーを追うだけで満足しちゃうんですよね。きっと十分な読解力がないんだろうな…。

"Saarretut"の意味

saarretut saartaa 包囲する の受動過去分詞の複数形主格。

『包囲された者たち』というような意味になるでしょうか。包囲された→孤立した でもいいかな?

大雪のために道路も雪で覆われ、孤立してしまった街を舞台にしているのでこんな書名がつけられた?

原作はスウェーデン語です。もとの書名は『Pojken』、つまり『少年』。

著者について

Karin Erlandsson(1978年~)は、フィンランドの作家。現在はオーランド島のマリエハムンに住み、文化部記者としてNya Åland紙に勤務しています。

《参考ウェブページ》
Saarretut – Kustantamo S&S
Karin Erlandsson – Kustantamo S&S

2018年4月28日

✐ 麻疹(はしか)をフィンランド語で何という?

日本では麻疹が話題になっているようですね。

フィンランド語で麻疹tuhkarokko です。ちなみに tuhka のこと。また、発疹を伴う病気、あるいは発疹そのもののことを一般に rokko といいます。

赤い灰をかぶったように発疹が出るから tuhkarokko なのかなあ…

ところで、tuhkarokko 以外にも、いろんな rokko があります。ちょっと調べてみたのでメモしておきます。(順不同)
  • isorokko 天然痘iso 大きい
  • vauvarokko 突発性発疹vauva 赤ちゃん
  • vesirokko 水痘・水疱瘡vesi
  • vihurirokko 風疹vihuri 突風
  • enterorokko 手足口病(エンテロウイルスによる病気なのでこの名前?)
  • parvorokko 伝染性紅斑・リンゴ病(これもおそらくウィルスの名前からつけられている名称)
  • pikkurokko parvorokko の別称(pikku 小さい
  • tulirokko 猩紅熱(しょうこうねつ)tuli
  • yskänrokko 単純疱疹(たんじゅんほうしん)(yskän は yskä の属格形)
  • nokkosrokko 蕁麻疹(じんましん)(nokkos- は nokkonen イラクサ の語幹)
他にもあるかも…ですが、とりあえず今回見つけたのは以上。

それにしてもいろんな病気があるもの…知らない日本語もいくつかありました (・・;)

写真がないとこのブログのホームページや関連記事の欄が味気なくなるので(←変な理由でごめんなさい)、最後にイラクサの写真を載せておきましょう。


2018年4月26日

📖【小説】Pyörre:アイスランドを舞台とした推理小説

今回も、図書館から借りた電子ブックです。

Pyörre

Pyörre
著者:Yrsa Sigurðardóttir
訳者:Tuula Tuuva
出版:Otava, 2018年

学校から警察のもとへ、10年前に書かれた文が届きます。それは、当時の中学生たちが10年後を思い描いて書き、タイムカプセルに入れられていたもの。10年たった今、そのカプセルが開けられたわけです。それらが警察に届けられたのは、その中に殺人予告があったから。

10年前の中学生の書いたものを真に受け取ることもあるまいと思われました。でも、その後に続いた事件は、その予告との関連を示唆しているように見える…

仕事で大きなミスをしたために部長から平刑事に降格された Huldar刑事。でも彼の活躍もあって、事件の背景が徐々に明らかにされていきます。

*****

なかなか面白い本でしたよ。日本語訳はされないのかなあ…

ところでこの作品、アイスランド語から翻訳されたものなのだけれど、人名はもとのまま。おかげで、アイスランド語では英語などでは使われていないアルファベットが複数あるのだということを知ることができました。例えば  Æ とか Þ。

そういえば、アイスランド語ってどんな言葉なのか全然記憶にない…。映画やテレビで見聞きしたことはあるはずなんだけど。

"Pyörre"の意味

pyörre のこと。

原作のアイスランド語での書名は『Sogid』。Google先生の訳を見る限り、フィンランド語の書名は直訳というわけではなさそうです。

著者について

Yrsa Sigurðardóttir(イルサ・シグルザルドッティル 1963年~)は、アイスランドの作家。1993年~2003年には、児童・ジュニア向けの作品を発表。2005年以降は多くの推理小説を書いています。

彼女の作品は30言語以上に翻訳されているそう。日本では『魔女遊戯』という本が出版されているとのことです。

《参考ウェブページ》
Pyörre | Otava
Yrsa Sigurðardóttir | Otava
イルサ・シグルザルドッティル - Wikipedia

2018年4月20日

📖【ジュニア文学】Poika raidallisessa pyjamassa:『縞模様のパジャマの少年』フィンランド語版

毎度のごとく、図書館から借りた電子ブックです。よく知られている本であることを全く知らずに借りました。

読後にググってみるまで、世界で600万部以上の売り上げがあった本であることも、映画化されていることも、全然知らなかったんです、私。(-_-;)

Poika raidallisessa pyjamassa

翻訳された本って、国によって表紙が違うことあります。でもこの本は、どの言語のも表紙のデザインは同じ? 英語版も日本語版も同じような表紙ですよね。…これ、アウシュビッツで使われていたシャツ、そのままなんでしょうか?
Poika raidallisessa pyjamassa
著者:John Boyne
訳者:Laura Beck
出版:Bazar, 2017年

日本語でも出版されているし、映画化もされているので、ストーリーはここには書きません。そのかわり、個人的に思ったことを3つほど。

これだけ純粋な子供でいることは可能だったのか?

主人公のブルーノが、よくいえばあまりに純粋、悪くいえばあまりに世間知らずなものだから、ふとそんなことを考えたのです。

物語はフィクション。そして、ブルーノがそんな子だったからこその物語の展開だし、だからこそ心に残る作品。ですから、作品の設定に難癖をつけたいわけではありません。実際のドイツ社会ではどうだったのだろう、という単なる疑問です。

9歳というと、もう学校に通っていたんじゃないか? とすると、学校教育の影響が少なからずあったのでは? 当時、ドイツの学校でどんな教育がされていたかは全く知らないけれど、ナチズムの影響が皆無だったとは考えにくい。

さらに、世間の大人たちの言動はそれなりに見聞きしていたはず。まだ自分自身の考えで善悪が判断できる年齢ではないと思われるので、身近な大人たちの影響はすごく大きかったと思うんですよね。

そんな中でナチズムに染まらず、差別も知らないまま生活することできたのかな?…実際のところはどうだったのでしょう?

真実をどこまで伝えるべきだったのか?

ブルーノは父親が具体的にどんな仕事をしているのか全く知りませんでした。ユダヤ人の迫害のことも。

ブルーノが何も知らなかったからこその結末…

ブルーノの家で給仕をしていた Pavel が、以前は医者であったということを知ったときにも、Pavel が若い軍人にひどい扱いをされたときにも、ブルーノにはそれらの背景にあるものについて何も語られませんでした。柵の向こう側(つまり収容所)についても。

単にまだ何も知るべきではない年齢だと親が考えていたから?あるいは、親たち自身が心の奥で、ユダヤ人迫害を間違ったことだと思っていたから?

いずれにしても、ブルーノに何も伝えなかったことが、結局はあだになったわけです。

物語の中に関わらず現実の世界でも、子供に何をどれだけ伝えるかというのは、場合によってはとても難しいことなのかも…

もしブルーノがベルリンにもどっていたら

ちょっと考えてみたのですよ、もしブルーノがベルリンに戻ることができたとしたら、どんな子になっていたのだろうって。

しばらくはシュムエルのことを思い出すことはあったとしても、時とともに忘れていくのかな? アウシュビッツで暮らしているうちに、ベルリンの友達のことは徐々に忘れていったような子ですから。

ユダヤ人迫害について知った時にはどんな反応をするんだろう? そういうものだと
その思想にそのまま染まっていった? 疑問に思いながらも、世間に合わせて生きていった?

この時代とブルーノの年齢を考えあわせて想像するに、大きな声で反論する…なんてことはできなかったでしょうね。そもそも、シュムエルについて「こいつはおまえの友達か?」と聞かれたときに、こわくて正直には答えられなかった子。もし疑問を抱いたとしてもそんなことは口にせず、まわりに合わせて生きていったのだろうと想像します。

実際のところ、当時、子供だけじゃなく、大人にだってそういう人は多かったのだろうと思うのです。当時は命もかかっていたのでしょうから。

*****

この本を原作とした映画のDVDも図書館で見つけました。でも、あまりにつらいストーリーなので見たくない。私には本だけで十分です。

"Poika raidallisessa pyjamassa"の意味

それぞれの単語の意味です。
  • poika少年
  • raidallisessaraidallinen 縞模様(の) の 単数内格
  • pyjamassapyjama パジャマ の単数内格
とっても直訳的に意味をとると「縞模様のパジャマの中の少年」。で、つまり「縞模様のパジャマを着た少年」ということ。

原書名は『The Boy in the Striped Pyjamas』なので、フィンランド語の書名はそれをそのまま訳したもののようですね。

著者について

John Boyne(ジョン・ボイン  1971年~ )は、アイルランドの作家。彼の作品は、この『Poika raidallisessa pyjamassa』の他にも数冊が、フィンランド語にも翻訳されているそう。

《参考ウェブページ》
Poika raidallisessa pyjamassa - Bazar Kustannus
John Boyne - Bazar Kustannus
縞模様のパジャマの少年 - Wikipedia
ジョン・ボイン - Wikipedia

2018年4月15日

📖【小説】Everstinna:とある女性の人生

いつものように、図書館から借りた電子ブックです。

Everstinna

フィンランドの作家をあまり知らない人には、この表紙は分かりにくいと思いません? 少なくとも私は、著者名をすぐには読み取れなかった…。知らなかったんですよ、この作家。

いずれにしても、よく知られた著者の本じゃないと、こんな表紙にはできないだろうなあ…。逆に言うと、この著者はフィンランドではよく知られているということですね。
Everstinna
著者:Rosa Liksom
出版:Like, 2017年

ひとりの女性が、自分の人生を淡々と語る…そんな内容です。

20世紀の初めに生まれ、ラプア運動に傾倒し、戦時中はナチスを支持し、戦後は夫の暴力に心も体も傷つけられ、精神病院をへて、再びあらたな人生を踏み出し…

人から見れば波乱万丈の人生。でもそれが淡々と語られるのです。

この著者の作品群では、女性、権力、そして性が中心的なテーマとなっているそう。そういわれてみれば、確かにこの本もその通り。

私にとっては、今までに読んだことのないタイプの本で、とても新鮮でした。でも、読みにくかった~。方言で書かれていたもので。

"Everstinna"の意味

everstinna は、ここでは 大佐夫人 のこと。この本の主人公(語り手)は大佐と結婚。それで everstinna という敬称をもつことになるのです。

ちなみに、eversti 大佐。-nna がつくとその言葉が女性化?するようです。

蛇足ですが、似たようなつくりの言葉に keisarinna があります。everstinna よりも見聞きする機会はずっと多い言葉。

keisari 皇帝・天皇。で、keisarinna 女帝 とか 皇后 とかの意味になります。

著者について

Rosa Liksom (ロサ・リクソム。本名 Anni Ylävaara。1958年~)は、フィンランドの作家、そして画家。処女作は、短編集『Yhden yön pysäkki』(1985年)です。

『Hytti nro 6 』で2011年にフィンランディア賞を受賞したほか、その他にも多くの賞を得ています。また、2013年には Pro Finlandia -メダル(芸術家・作家を対象とした勲章)が与えられました。

《参考ウェブページ》
Everstinna | Like Kustannus
Rosa Liksom | Like Kustannus
Rosa Liksom – Wikipedia
ロサ・リクソム - Wikipedia

2018年4月6日

📖【歴史】Rikki revitty maa:フィンランドの内戦

去年はフィンランド独立100周年。そして今年はフィンランドの内戦から100年。内戦について、ラジオ・テレビ・新聞等で見聞きすることも多いこの頃です。

そしてこの本は、いつものように図書館の電子ブックで今よく借りられている本の中から選んで借りたもの。

電子ブックの貸出期間、2週間では読み終わらず(読むの遅いんです…)、最後のほうは紙の本を借りて読みました。

ところで、現物としての図書館の本は、図書館が買い入れたらそれが処分されるまでは図書館の蔵書ですよね、きっと。

でも、電子ブックの場合は、図書館が限られた期間だけのライセンスを買い入れる場合もあるみたい。前に借りた『Kaamosmurhat』( 📖【小説】Kaamosmurhat:ラップランドの冬、そして殺人事件)という本もそうだったけど、この本もすでに、図書館の電子ブックのリストから外れているようです。

Rikki revitty maa: Suomen sisällissodan kokemukset ja perintö

Rikki revitty maa
Suomen sisällissodan kokemukset ja perintö
編者:Tuomas Tepora, Aapo Roselius
出版:Gaudeamus  2018年

フィンランドの内戦

フィンランドで赤衛軍と白衛軍による内戦が始まったのは1918年1月下旬。そして、同じ年の5月16日には、勝利した白衛軍のパレードが行われています。つまり、内戦の期間自体はそれほど長くはありません。それでも内戦の残した傷跡は大きなものでした。

内戦による死亡者数は推定で約3万8000人。当時のフィンランドの人口は300万人余りということですから、全人口の1%余りが死亡したということになります。

全体の死亡者数をその原因によって大きく分けると、戦闘での死亡者が3分の1、処刑・殺害による死亡者が3分の1、捕虜収容所の空腹・病気・暴力等による死亡者が残りの3分の1となります。

内戦による死亡者のうち 85%は赤衛軍の人たち。また、死亡者の中には約2000人のロシア人も含まれています。軍人だけでなく一般市民も殺されたのだとか。

戦時中は赤衛軍も白衛軍も、捕虜をその場で殺害するなんてことをやっていたようです。特に、白衛軍によるそれは、数としては赤衛軍より多い。ちなみに、白衛軍の人たちは、戦時中行き過ぎた処刑・殺害をしていたとしても、戦後一切罪に問われることはありませんでした。

さまざまな角度からの歴史研究

歴史ってさまざまな角度から掘り下げることができるのですね。(受験勉強なんていうのをしていたころは、歴史というのは年号と出来事・人名を覚えることだと思っていた自分がはずかしい…。)

1つの史実についてもほんとうにいろいろな掘り下げ方がある…この本は、それを具体的に示してくれる本でもあります。12章構成ですが、それぞれの章がそれぞれの角度から書かれているのです。

個人的に面白いと思ったのは、11歳~20歳の女生徒たちが戦後まもなく書いた作文を資料として使った歴史研究。そもそも、そういう作文が資料として今まで残されてきたということ自体すごい…

時代・立場による解釈の違い

時代、立場などによって、歴史の解釈や史実への意味づけは変わるもの。フィンランドの内戦は本当にそのいい例だと思いました。

名称だけをとってもそれがよくわかります。白衛軍はこの内戦を「vapaussota(解放戦争)」と呼びました。内戦は、ロシア、さらにはボリシェヴィキからのフィンランドの解放のための戦い、という解釈です。この名称は、学校の教科書などでも1960~70年代まで使われていたそうです。

内戦の名称は他にもいろいろあります。「kannsalaissota(市民戦争)」「punakapina(赤の暴動)」「veljessota(兄弟戦争)」などなど。

それぞれの名称は、内戦をどう解釈するかということと深いかかわりがあります。個人的には、この書名でも使われている「sisällissota(内戦)」というのが中立的でいいと思っていますが、とらえ方はひとそれぞれ。

そういえば、今年初めにこんなニュースが話題になっていました。


内戦から100年が経っても、内戦のとらえ方がひとつにまとまるということはなさそうです。

"Rikki revitty maa: Suomen sisällissodan kokemukset ja perintö"の意味

それぞれの単語の意味です。まずはタイトル部分。
  • rikki壊れた(副詞)
  • revittyrepiä 引き裂く の受動過去分詞
  • maa
直訳しようとするとちゃんと日本語にならない…。壊れた状態に引き裂かれちゃった国という意味でしょうが、「2つに引き裂かれた国」としたら意訳すぎますかね?

そしてサブタイトルの方。
  • SuomenSuomi フィンランド の単数属格
  • sisällissodansisällissota 内戦 の単数属格
  • kokemuksetkokemus 経験 の複数主格
  • ja~と
  • perintö遺産
これはそのまま「フィンランド内戦の経験と遺産」と訳せますかね。

フィンランドの研究者たちによって書かれた本ではありますが、もともとは『The Finnish Civil War 1918: History, Memory, Legacy』という書名で英語で出版されたものです。


著者について

編者のひとり、Tuomas Tepora(1978年)は哲学博士。フィンランド史、北欧史のヘルシンキ大学講師。
もうひよりの編者、Aapo Roselius(1975年~)は哲学博士。オウル大学のフィンランド政治史の講師。

これら2人の編者は著者でもあります。

そして彼らの他に、著者は8名。

Anders Ahlbäck はオーボアカデミー大学の北欧史の講師。
Pertti Haapala(1954年~)はタンペレ大学のフィンランド史の教授。
Marianne Junila は歴史の研究者としてオウル大学で勤務。また、ユバスキュラ大学の社会史の講師。
Tiina Kinnunen は、オウル大学のフィンランド史・北欧史の教授。
Tiina Lintunen は、政治学博士。トゥルク大学で政治学史を研究。
Tauno Saarela(1952年~)は、ヘルシンキ大学の政治学史の講師。
Juha Siltala(1957年~)は、ヘルシンキ大学のフィンランド史教授。
Marko Tikka(1970年~)はタンペレ大学のフィンランド史研究者および講師。

参考ウェブページにある本の目次をみると、それぞれの著者がどんな章を書いているかがわかります。

《参考ウェブページ》
Rikki revitty maa. Suomen sisällissodan kokemukset ja perintö.
470_Sisallys.pdf (本の目次)

2018年3月18日

📖【ジュニア文学】Pakenijat:終わることのない若者たちのサバイバル

去年読み始めた3部作。

1冊目がこれ。

そして2冊目。

今年になって3冊目が出版されました。

紙の本を借りるつもりで少し前から図書館に予約。でも、電子ブックが先に借りられたので、予約は解除して電子ブックで読んだのでした。

Pakenijat

Pakenijat
著者:K. K. Alongi
出版:Otava, 2018年
表紙:Timo Numminen

3部作の3冊目…つまり完結編。

世の中のほとんどの人間が突然死に絶え、生き残ったのはわずかの若者たちだけ。…そんな現実離れした設定だっただけに、いったいどう完結させるつもりなのか、そのことにとっても興味がありました。

ん~、でも結局は完結したというよりも、これからまた新しい冒険が始まるって感じの終わり方。

人々を死に至らしめた原因は何だったのか、逆に、生き残った若者たちはなぜ生き残れたのか…それは謎のままに終わりました。

舞台は今のフィンランドです。でも、内容的には「ファンタジー」って感じかなあ。特にこの3冊目を読んだ後、そう思いました。

正直言って、この終わり方には物足りなさを感じました。でも、「私ってばもしかして、フィンランド語の本をそれなりの速さで読めるんじゃね?」とうれしい誤解ができる程度にサクサク読めたので満足しています。(ジュニア向けの本であることは忘れておくことにしよう…)

"Pakenijat"の意味

pakenija 逃亡者 のこと。pakenijat はその複数主格です。

著者について

K.K.Alongi(本名:Katariina Alongi)(1967年~)は、ヘルシンキ生まれ。現在はカリフォルニア在住。

《参考ウェブページ》
K. K. Alongi | Otava
Pakenijat | Otava

2018年3月17日

📖【歴史】Euroopan lyhin historia:ヨーロッパ史を短くまとめた歴史の本

電子ブックを「今一番借りられている」順に並べたときに、上位にある本を借りる…たびたびそうやって読む本を選んでいます。

それはそれで面白いと思ってはいるのだけれど、この方法で本を選ぶと、ミステリー小説に当たることがやけに多いということに気づきました。

私、特に読書好きというわけでもなく、さらに小説の類はそれほど得意でない…

で、その類に疲れて、図書館の電子ブックのリストを見ながら、気分で選んで借りたのが今回の本です。

Euroopan lyhin historia

Euroopan lyhin historia
著者:John Hirst
訳者: Helene Bützow
出版:S&S, 2017年

ヨーロッパ史が、すご~く短くまとめられた本です。全10章のうち、1・2章がヨーロッパの通史。通史なのにそれだけコンパクトにまとめてあるのがありがたい。特に、ヨーロッパの歴史が ??? の私のようなものにはぴったりです。

他の章には、テーマごとにもうちょっと詳しい歴史が書かれています。とはいうものの、短い本ですから、ヨーロッパの歴史の中で特にとりあげる価値があると考えられるもの(!?)しか取り上げられていません。「ヨーロッパの歴史」と題されてはいますが、全体に「西ヨーロッパ」中心の歴史の本です。

ヨーロッパの北のはずれである北欧に関しても、特に取り上げられていませんでした。せいぜいバイキングが登場したぐらいなものです。そのバイキングも、イギリスやフランス界隈に遠征・定住したから言及されているわけで、そうでもなかったら登場しなかったはず。

その代り、イギリスは結構登場していましたね。この本の著者はイギリス人だろう、と想像してしまうぐらいに。まあ、その想像ははずれでしたけどね。

"Euroopan lyhin historia"の意味

それぞれの単語の意味です。
  • EuroopanEurooppa ヨーロッパ の単数属格
  • lyhinlyhyt 短い の最上級
  • historia歴史
つまり、この書名の意味は、原書名『The shortest history of Europe』そのまま。

著者について

John Hirst(1942年~2016年)は、オーストラリアの歴史家。大学で教鞭もとっていました。

《参考ウェブページ》
Euroopan lyhin historia – Kustantamo S&S
John Hirst (historian) - Wikipedia