今回も、図書館から借りた電子ブックです。この本の電子ブック版は、地域の図書館には3部のみ。それでも予約もせずに借りることができたわけですが…

さっき地域の図書館のウェブページで確認したら、紙の本のほうは、約70冊が貸し出し中。加えて、現予約者数はなんと302…

電子ブックを借りる人の割合はまだまだ少ないのですね。

Tummiin vesiin

Tummiin vesiin
著者:Paula Hawkins
訳者:Antti Autio
出版:Otava, 2017年

この本、日本では『魔女の水浴』という名で、今月初めに出版されたようです。本の内容の説明代わりに、出版社のツイートをここに埋め込んでおきます。


自殺なのか殺人なのか、何が背景にあるのか、殺人だとしたら犯人は誰なのか、かなり読み進めていかないと全く見当がつかない…そういう意味で、楽しめる推理小説でした。


ストーリーはさておいて、こちら、とある場面でのダニエラの娘 Lena の言葉。
Jos kaksi ihmistä tekee jotain väärää ja toinen heistä on nainen, hän on tietenkin automaattisesti syypää. Vai mitä?
もし2人が何か間違いを起こす。そしてその2人のうち一方が女性だと、当然のごとく彼女に責任があるってことになる。そうじゃない?
Lena はその考えが理解できないと言います。

作品のテーマは、おそらくそこにあるのでしょう。例えば不倫。男女それぞれ責任がある筈なのに、女性だけがたびたび悪者にされる。あるいは強姦。襲うほうが悪いはずなのに、女性に隙があったんじゃないかって話になる。

本来ならそんなのは変。でも現実には女性が後ろ指をさされる、あるいは女性が罪の意識を持ってしまうなんていうことは、ありそうなことです。作者は、この作品でその理不尽さを伝えたかったのかもしれません。

"Tummiin vesiin"の意味

まずは、それぞれの単語の意味です。
  • tummiintumma 暗い の複数入格
  • vesiinvesi の複数入格
つまり直訳すれば『暗い水の中へ』。

この本の原題は『Into the Water』ですから、直訳というわけではないようです。でも、このフィンランド語の書名は、内容が漂わす雰囲気をよく表していると思います。

一方で、日本語版の『魔女の水浴』という題は、私にはいまいちしっくりきません。

著者について

著者の Paula Hawkins(ポーラ・ホーキンズ 1972年~)はイギリスの小説家。

彼女の最初のスリラー作品が『ガール・オン・ザ・トレイン』(フィンランド語版は『Nainen junassa』)です。これはヒット作だったようで、実はこの『Tummiin vesiin』の表紙の上部にも、白い文字でこんな広告文(?)が書かれているのです。
NAINEN JUNASSA -JÄTTIMENESTYKSEN TEKIJÄN UUSI, VANGITSEVA TRILLERI
ヒット作『ガール・オン・ザ・トレイン』の作者による、魅惑のスリラー新作
『ガール・オン・ザ・トレイン』で有名になった作者なんですね、きっと。

《参考ウェブページ》
 Tummiin vesiin | Otava 
 Paula Hawkins | Otava 
 ポーラ・ホーキンズ - Wikipedia